スタッフの武藤です。

ユウキの続きです。

自分たちがやりたかったことを始められたご両親。

父親は、特に趣味もなく、何かを始めようとされました。そのときに浮かんだのが、ユウキが中学校１年生のとき、夏休みの宿題(この頃ユウキは不登校で、中学校には行っていませんでした。しかし、２学期から行けるかもしれないという期待を持ち、一緒に宿題に取り組んでみえました)のために、たまたま訪れた滋賀県にある観音正寺のことを思い出し、西国三十三ケ所観音巡礼を始められました。巡礼をされながら、ユウキの自立を願ってみえました。

母親は、以前からの趣味を続けられました。ユウキが部屋に引きこもっていると、どうしても躊躇っていたことでが、自分のためにやってみようと思われました。ユウキが引きこもっているときもやってみえましたが、どうしてもユウキのことが気になり、熱中することはできませんでした。少しずつですが、以前のように、楽しくできるようになってきました。

ご両親のこの行動の裏には、ユウキの引っ張り出しのときの塾頭との次のような会話がありました。

塾頭：「ユウキにどうなってほしいのですか？」

両親：「自立してほしい」

塾頭：「自立するとは、どういうことですか？」

両親：「自分でお金を稼いで、自分で生活できること」

塾頭：「自立できるとなぜよいのですか」

父親：「もうすぐ私も定年になります。いつまでも今のように収入があるわけではありません。また、確実にユウキより先に亡くなります。亡くなったときに、自分で生活できないようでは困ります。いつまでも親を頼りにしてくれていては困ります」

塾頭：「自分で生活できるということは、ユウキにどうなってほしいのですか？」

両親：「・・・・・？！」

塾頭：「幸せになってほしいのではないですか」

このような会話を通して、「自立＝幸せ」ということに気づかれました。ユウキに自立してほしいということは、ユウキに幸せになってほしいということです。

ユウキに幸せになってほしい。そのためには、『まず自分たちが幸せになることが大切。自分たちが幸せでないのに、わが子が幸せになることはない』と考えられました。わが子の幸せのために、まずは自分たちが幸せになることを始められました。

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