「粋塾」公式ブログ
S その3
スタッフの武藤です。
Sの続きです。(先日、他のスタッフがSのことについて書いています。重なる点があるかと思います)
卒業式までのわずかな間でしたが、Sは週に3~4回登校することができました。これは、事実として素晴らしいことだと思います。この登校に関しては、担任のT先生やK先生のおかげです。感謝です。
さて、卒業式は残念なことに参列することができませんでした。それは、髪の毛の長さです。もちろん切れば参列できたのですが、Sはそれを選択しなかったということです。私たちスタッフも、あえてそれはやらせませんでした。Sの選択を尊重しています。
小5でいじめにあい、それ以来学校へあまり登校できませんでした。
小学校の卒業式も、みんなと一緒に参列できず、会議室でのSだけの卒業式だったそうです。Sにとっては何一つ思い出に残っていない卒業式です。みんなと一緒に出られないのであれば、特別に何かをしてもらわなくてよいという思いになったようです。
3月3日の卒業式が近づいてきて、中学校と卒業式のことについて話し合いました。
Sは「卒業式に出られないのならば、親に渡してくれればよい」と考えていました。中学校は、別室でのSだけの卒業式を考えているということでした。しかし、小学校のときのこともあり、別室での卒業式はやってほしくないというのが、Sの思いでした。
どうしても校長先生より直接渡したいということに対してSの出した結論は、玄関で渡してくれればよいという結論でした。
3月3日の午後、Sと一緒に卒業証書をもらいにいきました。Sの希望通り、玄関で淡々と校長先生より卒業証書が渡されました。
私も、その場にいてどうしても腑に落ちないことがありました。それは、Sをいじめた者は、卒業式に参列して、Sが出られないということです。
小5のいじめからSの学校生活は狂い始めました。小5までは普通に登校でき、授業も受けていました。小5のいじめがきちんと解決されていれば、きっとSは普通に学校生活を送っていたはずです。みんなと一緒に授業を受け、行事に参加したり、部活動をしたりしていたはずです。きっと、中学校の思い出がいろいろとできたはずです。そのSが卒業式に出られない。
もちろん、何度も書きますが、髪の毛を切れば出られたのですが、「何の思い出もない中学校の卒業式に髪の毛を切ってまで出たいと思わない。何ひとつめでたいとは思わない。小学校のときも卒業式に出られなかったので、出てみたかった。」とSは話してくれました。
髪の毛のことについても、女子の規定(髪の毛を結ぶ)で対応してくれないかと何度も頼んだのですが、答は「NO」でした。その学校の経営方針を見ると「生徒一人一人を理解し、個性を伸ばす指導に努める」と書かれています。
卒業証書をもらってきた帰りの車の中で、私はSに「高校では、卒業式にでような」と話すと、Sは力強くうなずいていました。
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